AIに自分でプロンプトを出させる「自走ループ」とは
毎回プロンプトを手で打つ使い方から、次に何をやるかをAI自身に決めさせて回す使い方へ。 この記事はその考え方と元ネタを整理します。 すぐ自分の環境に入れたい人は、手順をまとめた自走ループ・セットアップへ進んでください。 逆に、毎回その都度のプロンプトが欲しいだけなら、テンプレから作るプロンプトジェネレーターのほうが早いです。
何の話か
きっかけは、Anthropic で Claude Code を率いる Boris Cherny の発言です。 彼はポッドキャスト Acquired(2026年6月)で、自分の作業がこう変わったと語りました。
もうClaudeにプロンプトを書いていない。 Claudeにプロンプトを出して何をすべきか考えるループが回っている。 自分の仕事はそのループを書くことだ。
一年前はIDEの補完でコードを書き、途中は複数のClaudeを並列で手動操作していた。 今はプロンプトを打たず、プロンプトを出す側のループを書く。 2025年12月の30日間では、彼のClaude Codeへの貢献の100%をClaude Code自身が書き、259件のプルリクエストをマージしたといいます。
巷の要約は少し盛られている
このクリップは海外で大きく拡散し、日本語でも多く紹介されました。 ただし広まった要約には、原典から外れた部分があります。
- 原典は「自分はこう変えた」という体験談です。「お前もプロンプトを書くな」という命令ではありません。
- 「9割が損している」という数字は原典にありません。原典の9割は「Claude Codeチームのコードの90%超がClaude Code製」という社内の生産性指標で、一般ユーザーの損失率の話ではありません。
- 発言はコーディングの文脈です。汎用チャットの使い方の話ではありません。
つまり核は本物ですが、「誰もがやらないと損」という煽りは付け足されたものです。 合う作業に絞って入れるのが正しい受け取り方です。
自走ループとは何か
自走ループは、賢い一個のプロンプトではありません。 「決める・作る・確かめる」を分けて繰り返す仕組みです。
部品は四つです。
- 記憶:プロジェクトの前提を
CLAUDE.mdに固定し、毎回の説明をなくす。 - 分業:次の仕事を決める係、実装する係、検証する係に役割を分ける。
- 駆動:次タスクを決めさせ、実装させ、検証し、終わるまで繰り返すループ。
- 歯止め:反復回数とコストに上限を置き、危険操作をフックで止める。
人が書くのは「ゴールを1文で書くこと」と「ループを直すこと」に変わります。 個々の手順を考えるのは、人ではなく「決める係」の役目になります。
どんな作業に向くか
向くのは、結果を機械で検証できる作業です。 テストが通るか、ビルドが成功するか、アプリが起動するか。 ここで合否を判定できるからこそ、人が見ていなくてもループが自分を正せます。
逆に、検証できない作業には向きません。 正解が主観的な文章の良し悪しや、外部の承認が要る作業は、ループの判定基準を作れません。 こうした作業は、従来どおり人が舵を取るほうが速く確実です。
始め方
考え方がつかめたら、最小構成で一度回してみるのが早いです。
CLAUDE.md の雛形、役割ごとのサブエージェント定義、コピペで動くループ・スクリプト、コスト上限の付け方までを自走ループ・セットアップにまとめてあります。
最初は反復回数とコスト上限を低く設定し、検証可能な小さな作業で試してください。 うまく回り出したら、対象を少しずつ広げていけば十分です。